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[Dupdo]Copiado!
もちろん、戸惑いはした。一応アイドルだし、恋愛は良くないことなのではないかと思った。おそるおそる、プロデューサーさんにやんわりと相談したら、「ジュンさんはたしかにアイドルですけど、その前に1人の女子高生です。もちろんバレないようにするのが前提ですが、普通に恋をするのは決して悪いことじゃないですよ。恋心を知ることは表現力を上げることにも繋がりますしね!」と言われた。まさか肯定されるとは思わなかったため呆然としたが、私はこの心に素直に従うことにした。と言いつつ、そんな気持ちを自覚してからも、生活自体はそこまで変わらず、ナツキとの時間はいつものように流れていた。毎朝、家の前で待っているナツキに「おはよう」と声をかけると、「おはよう…ジュン…。」と柔らかな笑顔に迎えられる。当たり前のように歩道側を私が歩き、自転車が近づくと少し私の方に身を寄せてくる。私が何か話すと「……うん、そうだね」と蕩けるような声と笑顔で相槌をうつ。視線を感じて「なんだよ?」と言うと「……ううん、今日も可愛いなって……。」と平気で甘い言葉を吐いてくるから「ばっ…か……かわいくなんてない!」と私は可愛くない返答をする。学校でも休み時間になると私のところに来て、授業の分からない所を聞いてきたり、部活の事を話す。そうしているとだいたい部活仲間の誰かしらが来るから雑談を交わす。昼休みも一緒に部室に行って、栄養バランスの考えられた榊さんお手製の弁当を食べる。ちなみに夏来の分も一緒に用意されるため、量がナツキの方が多いぐらいで内容はほぼ一緒だ。量が多いかも…と思うと、「ジュン、食べれる…?ご飯……少し、もらおうか?」と聞かれるため、少しご飯を食べてもらう。授業が終わってからもナツキが迎えに来て、一緒に部室に行って、High×Jorkerで音を奏でたり、作曲したり、仕事について話し合う。帰る時も、途中まで5人で帰って(ハルナさんはバイトの時もあるが)、ナツキは私の家の前まで一緒に帰る。「…じゃあ、また明日。」と手を軽くあげながら言うと、変わらぬ笑顔で「……うん。じゃあね。」と手を振り、私が家の中に入るまで見守っている。部屋に入り、制服を脱いで、部屋着に着替える。今日出ていた課題は休み時間にナツキと終わらせたし、夕飯までにはまだ時間がある。ふぅ、と溜め息をついて、ベッドに腰掛けボーッとスマホを見つめる。………恋心を自覚したは良いけど、どうしたらいいのだろう。そもそも恋愛って皆どうしているものなんだ?そう思って、スマホで調べては首をかしげるのが最近の日課みたいになってきている。高校生のカップルがやっている事…みたいなのを見てみると、今の状況とあまり変わらないのだ。登下校を一緒にする、休み時間に会う、昼ご飯を一緒に食べる……うん、全部やってる。それに、ナツキは彼氏が彼女にするような事を私に普通にしてくる。私達の間では普通の事すぎて何も思わなかっただけで、周りからすると「何故それで付き合っていない?」という状況らしい。ナツキは……私の事を、どう思っているのだろう。いつも「可愛い」だの、「大好き」だの言ってくるけど、可愛い=小さくて可愛いだろうし、大好きなのも私のピアノのことだろうし。きっと親友以上には見ていないだろう。だって……私なんか、そんなに目立って可愛くないし、小さいし、む、胸だって小さくて、まだスポーツブラだし、女性らしさなんてまだまだない、魅力的な女性からかけ離れている。それに対してナツキは、成長期を迎えてから背はグンと伸び、顔つきも精悍になって、ボーッとしているだけでも妙に色気が漂う美青年に成長した。昔は、私と身長もあまり変わらなくて、可愛くて消えてしまいそうなくらいポヤポヤしていたのに……私だけ、昔とあまり変わらない。「昨日の昼休みも、呼び出されてたよな…」ナツキはほぼ毎週、誰かしらから呼び出される。もちろん、告白で。学年やクラスは関係なく、タイプも色々。あらゆる方向からナツキはモテる。昨日は……2Cで1番モテる?らしい学級委員だったか……。まぁ、フラれたと泣いていたと周りの女子が騒いでいたが。ナツキがモテるのは中学の頃からだから、今更何も思わない……いや、無意識に思わないようにしていたのだと最近気づいた。いちいち気にしてたら身が持たないし、何よりナツキはいつも何食わぬ顔で私のところに戻ってくるから。だから安心していたのかもしれない。でも、でも、万が一、ナツキの好みピッタリの子がナツキに告白したら?そしたらその子と付き合うのか?そしたら、今まで私としてきた事は、その子とするのか?登下校も?ご飯も?休み時間も?ぎゅうっと胸が苦しくなり、服を握りしめて丸く縮こまる。まだ現れもしていない相手に嫉妬して、バカみたいだ。でも、ナツキを誰かに取られたくない。彼の隣にいるのは、これからも自分が良い。こんな醜い独占欲が、私の心にもあったなんて。恋とは恐ろしい感情だ。………でも、「こんな私じゃ……」全身鏡を見つめると、酷く情けない顔をした自分がうつる。そもそもナツキは、どんな女の子が好みなんだろう。容姿が派手な子や香水がキツい子は、顔には出さないがあまり近づかないから多分違う。明るい子は普通に話すが、パーソナルスペースがあまりにも狭い子やボディタッチが多い子もあまり近づかない(シキちゃんは慣れた)。大人しめの子は、そもそもナツキにあまり話しかけない…というか、話しかけられないのだろう。たまに班とかで一緒になるとそれはそれは嬉しそうに頬を赤らめて話している(目は合わせられないようだが)。でも、委員長タイプというか、それこそ昨日ナツキに告白した子みたいな女子とは、割と話している気がする。色白で、黒髪で、品行方正……女の子らしい可愛さと、女性のしなやかさを持ち合わせているタイプ。最近の流行りらしい「清純派」というやつか。……うん、少なくとも今挙げたタイプの中だったら1番しっくりくる。「はぁ……清純派、かぁ」私だと性格がキツすぎるよなぁ…。褒められても照れが勝って可愛くない言葉を言ってしまうし。女の子らしくなんて恥ずかしい。「清純派」と検索ワードを入れて検索する。出てきた女性の画像と鏡の中の自分を見比べて溜め息を吐く。せめて、今より少しでも女の子らしい外見になれば、ナツキに振り向いてもらえるだろうか?……とはいえ、私にそんなオシャレの知識がある訳もなく。「こんな事を聞いたら、絶対に何か言われるに決まってるけど……他に頼れる人が見当たらない……」LINEを開いて、目がチカチカするようなピンクのクマアイコンを見つけ、私は苦渋の決断で彼女に文を送ったのだった。
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